医学部受験で解説を読んでもわからないのはなぜ?理解が止まる人向けに解説

医学部受験で解説を読んでもわからないのはなぜ?理解が止まる人向けに解説

「問題を解いて解説を読む。一応読めるし、なんとなく分かった気はする。でも次に似た問題が出たとき、また解けない」「解説の意味は分かるのに、なぜその式を立てるのかが分からない。気づいたら解説をなぞるだけで終わっている」「どこが分からないかも分からないという状態になって、質問もできない」「同じ解説を3回読んでも理解できないのは自分の頭が悪いからなのか」——解説が腑に落ちず勉強が止まる受験生に多い状況です。

「解説を読んでも分からない」という状態の多くは、頭の悪さではなく「理解が止まっている特定の場所がある」というサインです。その「止まっている場所」は必ず特定できます。この記事では、解説が腑に落ちない原因の種類と、それぞれに対する具体的な対処法を解説します。

📌 この記事でわかること

  • 「解説を読んでも分からない」には4つの種類があること
  • 「なんとなく分かった」と「本当に理解した」の違い
  • 「どこが分からないかも分からない」状態から抜け出す方法
  • 理解を確認するための「白紙再現法」の使い方
  • 質問できないとき・質問相手がいないときの対処法
  • 解説を読む前にすべき「分からない場所の特定」の方法

「解説を読んでも分からない」には4つの種類がある

「解説が分からない」という状態は一種類ではありません。原因の種類によって、対処法が全く変わります。まず自分の「分からない」がどの種類かを特定することが出発点です。

種類①:前提となる知識が抜けている

解説の中で使われている概念・定理・用語が理解できていない状態です。解説が「∫(積分)を使って…」と始まるときに積分の意味自体が曖昧だったり、「加水分解によって…」という説明で加水分解の仕組みが入っていなかったりするケースです。

原因:解いた問題が「今の自分のレベルより難しい」か、「以前学んだ内容が定着していない」場合に起きます。

対処法:解説を読む前に「この解説を理解するために必要な前提知識は何か」を洗い出し、その部分だけを先に確認する。解説の途中で「あ、この意味が分からない」と気づいた時点で、一旦解説を止めてその概念を調べる。

種類②:解説の「なぜ」が書かれていない

解説には「どうやって解くか(操作)」が書かれているが、「なぜその操作をするのか(理由)」が書かれていないことがあります。数学でよくある「ここで補助線を引くと…」という解説で「なぜその補助線を引くと分かるのか」が説明されていない状態です。

原因:市販の解答書・参考書の解説は「正解に至るプロセス」を書くが、「そのプロセスの発想の出発点」を書かないことが多い。

対処法:解説の各ステップに「なぜこうするのか」を自分で書き込んでいく。書けない場所が「本当に分からない場所」。その場所だけを先生・チューターに「なぜここでこうするのですか」と質問する。

種類③:解説は読めるが「自分で再現できない」

解説を読んで「ああ、そういうことか」と思う。でもノートを閉じて白紙に再現しようとすると、書けない。これは「理解した」ではなく「解説を追った」という状態です。

原因:「解説を読む」という行為は受け身のインプットです。「理解した」と感じますが、実際には「解説の流れを目で追っただけ」の場合があります。

対処法:後述の「白紙再現法」を使う。

種類④:「分からない場所が自分で特定できない」

どこが分からないのかも分からない、という状態。「全体的に分からない」という感覚があるが、具体的にどの部分で止まっているかが言語化できない状態です。

原因:問題全体が「今の自分の理解レベルの上」にある場合か、疲れや集中力の欠如で「考える回路が動いていない」状態の場合があります。

対処法:後述の「どこで止まるかを逆から追う方法」を使う。

「なんとなく分かった」と「本当に理解した」の違い

「解説を読んで分かった気がする」という状態は、勉強の中で最も危険な錯覚のひとつです。

「理解した」と言える状態の定義

「理解した」と言える状態には、以下の3つの条件が揃っています。

  • ①白紙に再現できる:ノートも解説も見ずに、問題の解き方を白紙に書き出せる状態
  • ②言葉で説明できる:「なぜこの方法を使うのか」を、他人に口頭で説明できる状態
  • ③数週間後に解ける:今日理解した内容を、2〜3週間後に問題として出されたときに解ける状態

「解説を読んで分かった気がする」は、①〜③のどれも満たしていない可能性があります。この状態で次の問題に進むと、「解説を読んで分かった気がする→次に似た問題が出ると解けない→また解説を読む→また分かった気がする」という無限ループに入ります。

医学部受験では「解説を読んで分かった」ではなく「解説なしで解ける」という状態を目標にする必要があります。このレベルまで1つの問題を深めることが、次の問題・類題を解く力につながります。

キャラクター

「解説を読んで分かった気がする→実はちゃんと理解できていない」という状態は、頭の悪さとは無関係です。人間の脳は「流れを追う(解説を読む)」ことと「生成する(自力で解く)」ことでは、使っている回路が異なります。解説を読む練習をいくら重ねても、自力で解く力は身につきません。

白紙再現法——「理解しているかどうか」を確認する最も確実な方法

「白紙再現法」は、理解の確認方法として最も信頼性が高い方法のひとつです。

白紙再現法の手順

  • ①問題を解く(自力で):まず解説なしで問題を解く。解けなくても、途中まで考える
  • ②解説を読む:解説を読んで「理解した気がする」状態まで持っていく
  • ③ノートを閉じる・問題を裏返す:解説もノートも見えない状態にする
  • ④白紙に最初から書き出す:問題の解き方を「なぜこうするか」という理由もつけながら白紙に書き出す
  • ⑤書けなかった場所を確認する:途中で手が止まった場所・書いた内容が解説と違う場所が「本当に分からない場所」

「書けなかった場所」の種類と対処

書けなかった場所の種類 意味 対処法
式の立て方・方針が出てこない 「どうアプローチするか」の発想が定着していない 解説を再度読んで「このタイプの問題ではこの方針を使う理由」を言語化する
計算途中で止まる 計算の操作は分かるが、実行する力が不足している その計算操作だけを練習する(因数分解・積分・ベクトル計算など単体で)
最後の答えが違う 方針は正しいが、どこかの計算で間違えている 計算ミスの場所を特定する。ミスのパターンを記録して繰り返す癖を把握する
全体的に書けない 前提知識が入っていないか、問題全体が現在のレベルより難しすぎる 問題の難易度レベルを下げる。または前提知識に戻る

「どこが分からないかも分からない」状態からの脱出方法

「全体的に分からない」という状態から「分からない場所の特定」に移行するための方法を解説します。

解説を「逆から追う」方法

解説を最初から読もうとすると「全部分からない」感覚になる場合があります。この場合、解説の最後(答え・結論)から逆方向に読んでいく方法が有効です。

  • 「この答えになるためには、直前のステップが必要だ」→「そのステップは理解できるか」→理解できれば一つ上に遡る→できなければそこが止まっている場所
  • 「最後の計算は分かる→その前の式変形も分かる→その前の方針設定は分かる→最初のアプローチの発想が分からない」という形で止まっている場所が特定できる

「1行ずつ確認する」方法

解説を1行ずつ読んで、各行の後に「なぜこうなるのか言えるか」という確認をしながら進む方法です。

  • 「この行は分かる→この行も分かる→この行が急に意味が分からない」という形で止まっている行を特定する
  • 止まった行の「なぜ」を書き出して先生・チューターに持っていく

「どこが分からないかも分からない」という状態は「分からない場所が1箇所あるのではなく、複数箇所あって全体が繋がっていない」場合が多いです。解説の最初から全部を一気に理解しようとするのではなく、「どの1箇所が分からないか」を特定することに集中してください。

解説を読む前にすべきこと——「分からないまま解説を読む」の前にやること

解説を読んでも分からない状態を防ぐには、解説を読む前の準備が重要です。

「考える時間」を先に十分に使う

解答を見るまでの「自力で考える時間」が短すぎると、解説を読んでも「ただ見た」だけになりやすくなります。「考えたが分からなかった」という経験があることで、解説の「なぜそうするのか」が頭に入りやすくなります。

  • 問題を5〜10分(あるいはそれ以上)考えてから解説を開く習慣を作る
  • 「考えても何も書けなかった」場合でも、「どこまでは分かってどこから分からなくなったか」を書き出してから解説を見る

「自分の答案に書いたことと解説の違い」を先に確認する

「自分の答案→解説」という順番で比較することで「自分はこうやったが、解説はこうやっている。なぜ解説の方法の方が良いのか(または正しいのか)」という「問い」が自然に生まれます。この「問い」を持った状態で解説を読むと、腑に落ちやすくなります。

「この問題の型」を先に確認する

問題を見たとき「この問題はどの分野の問題か」「この分野の問題では一般的にどんなアプローチを使うか」を先に考えてから解説に入ると、解説の全体像が見えやすくなります。

質問できないとき・質問相手がいないときの対処法

「分からない場所は特定できたが、質問できる相手がいない」「質問するのが恥ずかしい」という状況への対処法を整理します。

「分からない場所を紙に書き出してから質問する」という準備の重要性

「どこが分からいか分からないから質問できない」という状態は、「分からない場所が特定されれば質問できる」ということでもあります。白紙再現法や逆追い法で「止まった場所」を特定してから、「ここの〇〇がなぜこうなるのか分かりません」という形の質問を準備することで、質問のハードルが下がります。

質問相手がいない場合の代替手段

  • 別の参考書・解説動画で「同じ問題の別の説明」を探す:「この解説では分からないが、別の説明なら分かるかもしれない」。同じ概念を別の言葉・別の図で説明しているものを探す
  • 「ラバーダック・デバッグ」という方法:「自分の考えを声に出して説明する」という方法。人形や壁に向かって「この問題はこういう意味で、私はここまでは分かるが、ここからが分からない」と話す。声に出すことで「分からない場所」が明確になることがある
  • AI(ChatGPTなど)への質問:「なぜここでこの操作をするのか」という数学・化学・物理の「なぜ」の部分は、AI(ChatGPT等)に質問することで即座に回答を得られる場合があります。ただし「AIの説明が正しいかどうかを自分で確認する」という姿勢は維持してください

「恥ずかしくて聞けない」という場合

「こんな基礎的なことを聞いて恥ずかしい」という気持ちから、先生への質問をためらう受験生がいます。ただし先生の立場から見ると「基礎的な質問をしてくる受験生」は「どこが分かっていないかを把握できている受験生」であり、ネガティブな印象ではありません。

「分からないことを分からないと言える」という能力は、医師として患者から症状を聞き出す力の基礎でもあります。質問することをためらわないことは、受験勉強における習慣であると同時に、将来的な職業能力の土台でもあります。

「理解が止まる」を繰り返さないために——習慣として持つべきこと

「解説を読んでも分からない」という状態を繰り返さないための習慣を整理します。

  • 「分からなかった問題」の記録を残す:間違えた問題に印をつけるだけでなく「どこで止まったか」をノートに書いておく。同じ場所で止まることが重なったら、その概念の根本的な理解を確認する
  • 復習サイクルを短くする:「解説を読んで分かった」翌日にもう一度白紙で解く。1日後に書けなかった問題は、理解が定着していなかったということ
  • 「今日解けた問題」と「理解した問題」を区別する:「今日は5問解いた」ではなく「今日は2問、白紙で再現できるまで理解した」という進捗管理に変える
  • 問題の難易度を自分の理解レベルに合わせる:「今の自分が理解できるレベルの1〜2段階上の問題」が最も学習効率が高い。「解説を読んでも全く分からない」問題は、現時点では難しすぎる可能性がある

まとめ——「分からない」はサイン。場所を特定して、一歩ずつ処理する

📝 この記事のまとめ

  • 「解説を読んでも分からない」には4種類ある——①前提知識の欠如 ②「なぜ」が書かれていない解説 ③「追っただけ」の理解 ④分からない場所が特定できない状態
  • 「なんとなく分かった」≠「理解した」。理解したと言える状態は「白紙に再現できる・言葉で説明できる・数週間後に解ける」という3条件
  • 白紙再現法:解説を読んだ後にノートを閉じて白紙に書き出す。書けなかった場所が「本当に分からない場所」
  • 「全部分からない」場合は解説を逆から追う・1行ずつ「なぜ」を確認することで止まっている場所が特定できる
  • 解説を読む前に「考える時間を十分に取る」「自分の答案と解説の違いを先に確認する」という準備で理解が入りやすくなる
  • 質問できない場合は「分からない場所を紙に書き出す」「別の解説を探す」「声に出して説明する」という代替手段がある
  • 「今日解いた問題数」より「白紙で再現できるまで理解した問題数」で進捗を測る

「解説を読んでも分からない」という経験は、医学部受験において避けられません。重要なのはその状態を「自分には無理」というサインとして受け取るのではなく、「分からない場所がある」というサインとして処理することです。分からない場所は必ず特定できます。特定できれば、処理できます。一問ずつ、その積み重ねが合格につながります。