「マーク式の模試では65%くらい取れる。でも国公立の記述式になると急に点が下がる」「数学の問題は解けているのに、途中式を書こうとすると何を書けばいいか分からなくなる」「化学の反応式の説明が求められると、知っているはずなのに書けない。書いたとしても採点されているかどうか不安」「記述の答案を見ると、自分が書いたものと解答例の差が大きくて途方に暮れる」——記述への苦手意識を持つ受験生から多い声です。
「記述が書けない」という問題には、2種類の原因があります。「解き方は分かるが書き方が分からない」と「解き方自体が曖昧で書けない」では、対処が全く異なります。この記事では、記述力が弱いと感じている受験生向けに、途中式の書き方の考え方と説明力の鍛え方を解説します。
📌 この記事でわかること
- 「記述が書けない」には2種類あること
- 記述式で「採点される答案」と「採点されない答案」の違い
- 「途中式に何を書くべきか」という基本の考え方
- 「模範解答を写すだけでは記述力は上がらない」という理由
- 記述力を鍛えるための具体的な練習方法
- 時間内に書ける答案を作る練習の設計
「記述が書けない」には2種類ある——原因によって練習方法が変わる
種類A:解き方は分かるが「答案の書き方」が分からない
頭の中では解法が分かっている。でも「どこからどこまでを書けばいいか」「どのくらい詳しく書けばいいか」が分からないという状態です。マーク式の点数より記述式の点数の方が明らかに低い場合、この種類の可能性が高いです。
種類B:解き方自体が曖昧で書けない
「解けている気がする」が実は解法が定着していないため、記述形式で書き出そうとすると「どう書くか」より先に「どう解くか」の段階で止まってしまう状態です。マーク式でもそれほど高くない場合、この種類の可能性が高いです。
種類Aへの対処:答案の書き方を学ぶ練習が有効。種類Bへの対処:まず解法を定着させることが先(記述の練習より先に解ける力を作る)。種類Bなのに答案の書き方の練習だけしても、解ける力が上がらない限り記述の点数は改善しません。
「途中式に何を書くべきか」という基本の考え方
「どこからどこまで書けばいいか分からない」という受験生に多い誤解は「全ての思考プロセスを書かないといけない」という過剰な記述と「最終的な式と答えだけ書けばいい」という過少な記述です。
採点者が見ているもの
記述式の採点で採点者が確認しているのは主に以下の3点です。
- 「解法の方針が正しいか」:この問題に対して正しいアプローチを選んでいるかどうか
- 「論理の飛躍がないか」:「Aだから Bだから Cだから答えは〇〇」という流れが繋がっているかどうか。なぜAからBになるか(理由)が書かれていない場合、点数が引かれることがある
- 「計算の経路が追えるか」:途中の計算を省略しすぎると「どうやってこの答えになったか分からない」と採点者が判断して減点される場合がある
「書くべき途中式」の判断基準
- 「この式がなぜ成り立つか」という理由が自明でない場合→書く
- 「変数の定義・条件の設定」→最初に明示する(採点者への伝達として必須)
- 「計算の結果を利用するとき」→計算の結果を確認できる形で残す
- 「前後の論理が繋がっていることを示す等号・不等号」→省略しない

「採点者は、答案を読んで解答者の解き方が正しいかどうかを確認する人」という視点で答案を書くと、「何を書くべきか」が見えやすくなります。「自分が理解している思考プロセスを、採点者に伝わる形で書く」ことが記述式答案の目的です。
「模範解答を写すだけでは記述力は上がらない」理由
模範解答を読んで「なるほど」と思い、そのままノートに写す、という学習を続けても記述力は上がりにくいです。
なぜ写すだけでは不十分か
模範解答を写すことは「良い答案の形を見た」という経験です。「自分の言葉・思考で書く」という生成(ジェネレート)の練習ではありません。記述力は「書く練習」によって上がります。
「写す」より有効な練習
- 「模範解答を読む→ノートを閉じる→自力で書く」:模範解答の構造を理解した後に、閉じて自分の言葉で書き直す。「写す」でなく「自分で書く」という生成の練習
- 「模範解答との差分を分析する」:自分の答案と模範解答を比較して「どこが違うか・なぜ違うか」を分析する。「全部書き直す」より「差分の理解」に時間を使う
- 「なぜここを書くのか」の理解:模範解答の各行について「なぜこの行が必要か」を理解する。不要に思えた行が実は論理の繋がりに必要だったという発見が記述の理解を深める
記述力を鍛えるための具体的な練習方法
- 「白紙答案を制限時間内に書く」練習:過去問・問題集の記述問題を「解説なし・制限時間内」という条件で解答用紙に書く練習を週1〜2回行う。採点者に伝わる答案を時間内に書けるかどうかという実践的な練習
- 「自分の答案を採点する」練習:書いた答案を「採点者の視点」で見直す。「この式はなぜ成り立つか書いたか・論理の飛躍はないか・定義が明示されているか」というチェックリストで確認する
- 担任・先生への添削依頼:書いた答案を担任や講師に見てもらい「採点者目線での指摘」を受ける。自己採点では分からない「伝わらない部分」を発見できる
科目別の注意点
数学:「なぜこの式が成り立つか」という理由と「変数の定義」を明示する。答えだけ書く癖がある場合は「答えを出す前の過程だけを書く練習」が有効。
化学・物理:「なぜこの反応が起きるか」「なぜこの式を立てるか」という説明の言語化が重要。「〜であるから〜が起きる」という因果関係の記述形式に慣れる。
まとめ——「解けること」と「書けること」は別のスキル。書く練習が記述力を作る
📝 この記事のまとめ
- 「記述が書けない」には2種類ある——解き方は分かるが書き方が分からない(種類A)・解き方自体が曖昧(種類B)
- 採点者が見ているのは「解法の方針」「論理の飛躍の有無」「計算の経路の追跡可能性」
- 「変数の定義・条件の明示」と「なぜを省略しない」が記述の基本
- 模範解答を写すだけでは記述力は上がらない。「模範解答を読む→閉じて自分で書く」という生成の練習が有効
- 週1〜2回の「白紙答案を制限時間内に書く」練習と担任への添削依頼が、記述力を上げる実践的なアプローチ
「解けているのに記述で点が取れない」という問題は「書く練習の不足」から来ていることがほとんどです。今週から1問だけ「制限時間内に白紙答案を書く」という練習を加えてみてください。「解ける力」に「書ける力」が加わることで、記述式での得点力が変わります。
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