帝京大学医学部は、東京都板橋区にキャンパスを構える私立医学部です。私立医学部の中でも珍しい「科目選択制」を採用しており、英語は必須ですが、国語・数学・物理・化学・生物の中から得意な2科目を自由に選んで受験できる点が最大の特徴です。附属病院である帝京大学医学部附属病院は、板橋区のキャンパスに隣接し、臨床実習を身近な環境で行える点も魅力のひとつです。
さらに1次試験は3日間設けられており、複数日受験した場合は最も高い得点の日が採用される「試験日自由選択制」も導入されています。理数科目に自信がない受験生でも国語を選んで受験できるなど、他の私立医学部にはない柔軟な受験戦略が可能な大学です。
この記事では、帝京大学医学部の一般選抜について、科目選択の考え方、各科目の出題傾向と対策、面接・課題作文の準備法までを整理して解説していきます。
⚠️ 本記事は2025〜2026年度の入試情報をもとに作成しています。配点・試験科目・日程などは変更される場合があります。最新の情報は必ず帝京大学の公式サイトおよび募集要項で確認してください。
📌 この記事でわかること
- 帝京大学医学部の入試制度と配点構造(英語必須100点+選択2科目200点=計300点)
- 科目選択制・試験日自由選択制の仕組みと、得意科目を生かす戦略の立て方
- 英語・数学・理科(物理・化学・生物)・国語の出題傾向と対策
- 課題作文(30分・250〜300字)とMMIを含む面接の特徴と準備のポイント
帝京大学医学部の入試対策の前提|科目選択制の仕組みを理解する
帝京大学医学部の一般選抜は、募集人員約61名(地域枠含む)で実施されます。このほか福島県・千葉県・静岡県・茨城県・新潟県・群馬県の地域枠も設けられています。総合型選抜や共通テスト利用選抜など、複数の入試方式が用意されている点も帝京大学医学部の特徴のひとつです。
最大の特徴は、1次試験に「試験日自由選択制」と「科目・問題選択方式」が採用されている点です。1次試験は例年1月下旬に3日間実施され、出願者は複数日受験することができます。2日以上受験した場合は、試験日ごとの学科試験の合計点が最も高い日が自動的に採用される仕組みです。ただし、2026年度の場合、帝京大学を3日間受けると東北医科薬科大学を受験できなくなるなど、併願との兼ね合いには注意が必要です。
1次試験の科目と配点
| 科目 | 配点 | 試験時間 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 英語 | 100点 | 60分 | 必須科目 |
| 選択2科目 (国語・数学・物理・化学・生物から選択) |
各100点 (計200点) |
2科目で120分 | 得意な2科目を自由に選択 |
1次試験は合計300点満点です。2次試験では課題作文(30分・250〜300字)と面接が課され、この2次試験の結果が最終合否の判定に用いられます。2023年度の合格最低点は300点中211点で、75%程度の得点率が合格ラインの目安になります。

国語を選択科目に含められるのは、私立医学部の中でもかなり珍しい特徴です。理数系科目に苦手意識がある受験生でも、英語+国語+得意科目1つという組み合わせで受験できる可能性があります。
帝京大学医学部の科目選択|得意科目を生かす戦略の立て方
帝京大学医学部の科目選択制は、受験生にとって大きなチャンスであると同時に、選択を誤ると不利になるリスクもはらんでいます。どの科目も難易度自体はそれほど高くありませんが、科目選択制であるがゆえに、受験生全体の得点が高くなりやすく、意外な高得点が求められる点に注意が必要です。難易度が抑えられている分、周囲の受験生も高得点を取りやすいため、平均点が上がりやすいという構造を理解しておく必要があります。
一般的な組み合わせとしては、理系科目が得意な受験生は「数学+理科1科目」、理数科目に不安がある受験生は「理科1科目+国語」または「国語+数学」といった選択が考えられます。どの科目を選んでも、得点率5割を切ってしまうと合格は困難とされているため、「なんとなく学校で習っているから」ではなく、自分が最も安定して高得点を取れる科目を冷静に見極めることが重要です。模試の結果や過去問演習での得点率を客観的なデータとして活用し、感覚だけに頼らない科目選択を心がけましょう。
また、試験日自由選択制を活用し、複数日受験することで合格の可能性を高めることもできます。3日間のうち、自分の得意科目がその年度どのような難易度で出題されるかは事前にはわかりませんが、体力的に無理のない範囲で複数日受験しておくことは、リスクヘッジとして有効な戦略です。連日の受験は体力・集中力の消耗も大きいため、無理に3日間すべてを受けるのではなく、自分の体調管理と相談しながら計画的に判断することも大切です。
✅ 科目選択のポイント
- 得点率5割を切ると厳しい戦いになる。「なんとなく」ではなく安定して高得点が狙える科目を選ぶ
- 理数科目が苦手なら、国語を含めた文系寄りの科目選択も検討する
- 試験日自由選択制を活用し、体力が許す範囲で複数日受験してリスクを分散する
- 選択科目によって難易度に差が出る年度もあるため、複数科目を選べる状態にしておくと安心
帝京大学医学部の英語|出題傾向と対策
英語は必須科目で、試験時間60分は私立医学部の中でもやや短めです。選択式(マーク式)の解答形式が多いものの、長文のレベルは比較的高い傾向にあり、文法問題はあまり出題されず、長文読解を中心とした構成になっています。
帝京大学の入試は3日間設けられており、日によって最初の長文の難易度が異なる傾向があります。高難易度の長文が出題される日もあるため、複数年分の過去問演習を通じて、どのようなレベルの長文にも対応できる読解力を養っておく必要があります。文法問題は少ないとはいえ、語学の基礎となる文法・単語の知識は長文読解の土台になるため、満遍なく知識をつけておくことが欠かせません。
✅ 英語の対策ポイント
- 60分という短い試験時間を意識し、長文を素早く読み解く練習を積む
- 日によって長文の難易度が変わる。複数年分の過去問で幅広いレベルに慣れておく
- 文法問題は少なめだが、単語・熟語・文法の基礎知識は長文読解の土台として必須
- 必須科目だからこそ、選択科目に関わらず安定した得点源にしておく
帝京大学医学部の理数科目|出題傾向と対策
数学の傾向
数学を選択する場合、出題範囲は数学Ⅰ・Ⅱ・A(場合の数と確率、図形の性質)・B(数列)です。試験時間は選択2科目で120分、数学単独では概ね60分程度が目安になります。マークシート方式で、結果のみを表示する空所補充形式です。
大問4題構成で、ほぼすべての大問が小問集合になっています。大問1題に対して小問が2問ずつあるため、1問あたり7〜8分で解答する計算になります。出題の難易度は問題によってさまざまで、標準的な問題を確実に解けるようにしたうえで、計算ミスを防ぐ丁寧さが得点の安定につながります。
化学・物理の傾向
化学を選択する場合、2科目120分のうち化学には60分程度を割く計算になります。ほとんどの問題は基本問題でそれほど難しくありませんが、ややマイナーな知識を問う問題や、演習経験がないと対応しづらい問題が紛れていることがあり、こうした問題で差がつく傾向にあります。計算量自体はそこまできつくないため、時間的な余裕は比較的持ちやすい科目です。理論分野は標準的な問題集のA問題レベルで対応できますが、無機・有機・高分子などの知識問題については、より発展的なB問題レベルまで演習しておくことが望ましいとされています。目標得点ラインの目安としては、得意な受験生であれば9割以上、合格者平均は8割強、合格者最低ラインでも8割程度を狙いたいところです。
物理も同様に60分程度が目安で、全体的に基礎〜標準レベルの問題が中心です。分量もそれほど多くないため、時間的な余裕を持って取り組める科目と言えます。基礎から標準レベルの典型問題を確実に得点できる状態を作っておけば、十分に対応可能です。目標ラインも化学同様に高めで、8割後半から9割程度の得点が求められる水準です。
生物の傾向
生物を選択する場合も、60分程度が目安です。かなり平易な知識問題が多く、考察問題もそれほど難しくない年度が多い傾向にあります。体内環境や分子生物学、植物生理など幅広いテーマから出題されますが、教科書レベルの知識を正確に押さえておけば高得点を狙いやすい科目です。
国語の傾向
国語を選択する場合、古文・漢文を除いた現代文からの出題となります。理数系科目に不安がある受験生にとって、国語は有力な選択肢のひとつです。読解力と語彙力があれば安定した得点が期待できるため、理系科目に自信が持てない場合は積極的に検討する価値があります。
✅ 理数科目・国語の対策ポイント
- 数学は空所補充形式の小問集合が中心。1問7〜8分のペース配分を意識する
- 化学はマイナー知識の対策も。無機・有機・高分子はB問題レベルまで演習する
- 物理・生物は基礎〜標準レベルが中心。教科書内容の徹底理解で高得点を狙う
- 国語(現代文のみ)は理数系が苦手な受験生の有力な選択肢になる
帝京大学医学部の課題作文・面接|2次試験の対策
課題作文の傾向
2次試験ではまず課題作文が課されます。試験時間は約30分、文字数は250〜300字とかなり短いのが特徴です。出題形式は、指定された2つのキーワードを必ず含めて自分の考えを論じるというもので、過去には「コミュニケーション」「宗教」(外国人患者対応について)、「医療費」「少子化」(超高齢社会における医療問題について)、「専門分野」「総合診療」(20年後の自分の医師像について)といったテーマが出題されています。
800字や600字の小論文対策をしてきた受験生ほど、かえって300字という短い字数に苦労することがあります。最初にしっかりと構成を立て、できるだけ簡潔な表現を心がけて字数に収める練習をしておきましょう。医療知識と、短い字数の中で過不足なくまとめる力の両方が求められます。「作文」という名称ですが、実質的には他大学の小論文と同じように、論理的な文章構成が評価される試験だと捉えておくとよいでしょう。
面接の傾向
面接は個人面接形式で、面接官2名に対して受験生1名、所要時間は10〜15分程度です。質問内容はごく一般的なものが中心で、過度に困惑するような展開は少ないとされています。1次試験の学科試験の順番どおりに実施されることが多く、緊張しすぎずに臨める雰囲気であるとの声もあります。
ただし、近年は面接の最後にMMI(Multiple Mini Interview)的な要素が組み込まれることも報告されており、課題作文からの深掘り質問、シチュエーション型の場面想定問題、建学の精神への理解を問う質問など、多彩な出題パターンが特徴です。総合型・推薦・一般・共通テスト利用という入試方式ごとに面接形式が異なる可能性もあるため、自分が受験する方式に合わせた情報収集をしておくことが望ましいでしょう。
面接でよく聞かれる質問
| 分類 | 質問例 |
|---|---|
| 志望理由 | 医師志望理由、帝京大学を選んだ理由 |
| 人物像 | 自己PR、高校時代に力を入れたこと、長所と短所 |
| 建学の精神 | 建学の精神への理解と自分との結びつき |
| MMI的な質問 | 課題作文の内容の深掘り、場面想定型の質問 |
⚠️ 課題作文・面接で注意したいこと
- 300字という短い字数に慣れておらず、時間内にまとめきれない
- 指定された2つのキーワードのうち片方を使い忘れてしまう
- 「質問内容は易しい」という情報を鵜呑みにし、対策を怠ってしまう
- 建学の精神を確認せず、面接で聞かれた際に答えられない
2次試験の対策は最低限で十分という声もありますが、MMI的な質問が組み込まれる可能性を踏まえると、想定外の質問への対応力を養う練習をしておくに越したことはありません。予備校や学校での模擬面接を活用し、その場で考えをまとめて話す練習を重ねておきましょう。日頃から医療に関するニュースに触れ、自分なりの考えを持っておくことも、想定外の質問への備えとして有効です。
帝京大学医学部の入試対策|自分に合った受験戦略を立てる
帝京大学医学部を攻略するうえで、他の私立医学部とは異なる科目選択制・試験日自由選択制という特徴を最大限に活かす戦略を立てることが重要です。
得意科目の組み合わせを早めに決める
科目選択制のメリットを活かすには、自分がどの2科目を選ぶかを早い段階で決め、その科目に対策時間を集中させることが効率的です。中途半端に複数科目を並行して勉強するよりも、選択する科目を絞り込んで完成度を高めるほうが、得点率5割を切らないための確実な方法になります。
複数日受験でリスクを分散する
試験日自由選択制を活用し、体力・スケジュールが許す範囲で複数日受験することで、その年の出題難易度による当たり外れのリスクを軽減できます。過去問演習を通じて、どの日程でも安定して実力を発揮できる状態を作っておきましょう。
2次試験も油断せず準備する
学科試験が中心の入試という印象を持たれがちですが、課題作文とMMI的な面接要素まで含めて総合的に評価される入試です。学科試験でのケアレスミス防止と並行して、短い字数でまとめる作文力と、その場での対応力も準備しておきましょう。

帝京大学は「科目が選べるから簡単」という印象を持たれがちですが、実際は受験者全体の得点が高くなりやすく、油断すると足元をすくわれる入試です。自分の強みを正確に把握した戦略設計が合格への近道です。
📝 まとめ
- 帝京大学医学部は英語必須100点+選択2科目各100点の計300点満点
- 国語・数学・物理・化学・生物から自由に2科目を選べる科目選択制が最大の特徴
- 試験日自由選択制で複数日受験可能。最も高い得点の日が採用される
- 各科目の難易度は標準的だが、得点率5割を切ると厳しい高得点勝負の側面もある
- 2次試験は課題作文(30分・250〜300字)と面接。MMI的な要素にも備える
- 得意科目を早めに絞り込み、複数日受験でリスクを分散する戦略が有効
帝京大学医学部は、科目選択制という独自の仕組みを活かせるかどうかが合格の鍵を握る入試です。自分の得意分野を冷静に見極めて対策科目を絞り込み、試験日自由選択制も活用しながら、課題作文・面接の準備も並行して進めていきましょう。柔軟な受験戦略が立てられる大学だからこそ、事前の作戦設計が合否を大きく左右します。「選べるから簡単」ではなく「選べるからこそ戦略が問われる」という意識を持って準備に取り組んでください。



